「次を任せられる人がいない」。会社が大きくなるほど、そう感じる場面は増えていきます。
自分が抜けたら回らない。けれど、誰に任せればいいのかが見えない。そんな悩みを抱えている社長の方は少なくありません。
この記事では、次世代リーダー育成の意味と、中小企業がつまずきやすいところをデータで確認します。
そのうえで、「候補者がいない」と感じている会社が最初にやることを整理します。
次世代リーダー育成とは
次世代リーダー育成とは、将来、会社の経営や部門を担う人を、計画的に育てていくことです。
押さえておきたいのは、「計画的に」という言葉です。
そのときどきで、いちばんできそうな人に任せることとは違います。
数年先に必要になるリーダーを見越して、先に育て始めることを指します。
中小企業ほど、育てる体制が整っていない
HR総研が企業の人事責任者・担当者238人に行った「次世代リーダー育成に関するアンケート2026」(2026年10月公開)によると、次世代リーダー育成に「既に取り組んでいる」会社は、大企業では68%でした。一方、従業員300名以下の中小企業では33%にとどまります。
同じ調査で、課題として多かったのは「社内に候補となる人材が乏しい」(42%)と「育成計画の企画・実施体制が整っていない」(41%)でした。後者は会社の規模が小さいほど高く、中小企業では46%にのぼります。
注目したいのは、期待したポストに人を就けることができた会社と、それ以外の会社の違いです。
成果が出ている会社では、経営層が次世代リーダー育成に関わっている割合が90%でした。それ以外の会社では55%です。候補者の育成計画が「できている」「ややできている」と答えた割合も、79%と40%で大きな差がありました。
経営層が関わったから成果が出た、とまでは言い切れません。ただ、成果が出ている会社の多くで、社長や役員が育成に関わり、計画を持っていたことは確かです。
「候補者がいない」の正体
候補者がいないと感じるとき、多くの場合、今の役職者の延長線上で次のリーダーを探しています。マネージャーの次は誰か。今いちばん成績がいいのは誰か。この探し方では、条件をそろえた人はなかなか見つかりません。
InsideSparkでは、候補者は見つけるものではなく、育つ途中にいるものだと考えています。
今の時点でリーダーの条件をそろえている人を探すのではなく、数年後にリーダーを任せられる土台を持った人を、今から育てる。
とくに創業から年数の浅い会社では、入社3年目の社員が、もう中堅として扱われることも珍しくありません。早くから中堅として扱われ始めたこの時期が、次のリーダーを育て始める時期です。
中堅社員にどんな役割を期待し、どう伝えるかは、中堅社員の役割とは?「中堅なんだから」で終わらせない育て方で整理しています。
中小企業の次世代リーダー育成、3つの進め方
1つ目:社長が関わり、求めるリーダー像を言葉にする
次世代リーダー育成を、人事や現場の管理職だけに任せると、「誰を、どんなリーダーに育てるのか」がぼやけます。中小企業では、人事の専任者がいないことも多くあります。
最初にするのは、社長自身(または担当役員)が数年後にどんなリーダーが必要なのかを言葉にすることです。売上を伸ばす人なのか、チームを育てる人なのか、新しい事業を任せる人なのか。求める姿が言葉になって初めて、誰をどう育てるかが決まります。
InsideSparkでも、受講者の上司に「受講者にどうなってほしいか」を最初に伺い、会社から求められている姿を、受講者自身の目標とつないでいます。
2つ目:今の成績だけで候補を決めない
候補を選ぶとき、つい今の仕事の成績で選びたくなります。けれどプレイヤーとして成果を出す力と、チームで成果を出す力は別のものです。今の成績を基準に選んだ人ほど、リーダーになってからつまずくことがあります。
成績以外に何を見ればいいかは、ピーターの法則とは?優秀なプレイヤーを昇進させるとつまずく理由で紹介しています。
3つ目:選ぶ前に、中堅社員期の育成計画を持つ
次世代リーダー育成というと、候補を選んでから育てる流れを思い浮かべがちです。InsideSparkは、この順番を逆にすることをすすめています。
中堅社員のうちに、自分で決めて結果を引き受ける経験や、自分の状態を観察する習慣といった土台を育てる。その中から、リーダーを任せられる人が見えてきます。リーダーを任せるかどうかを決めるのは、育てたあとです。
中堅社員期に整えておきたい土台は、管理職育成の土台は昇進前にできている。エンゲージメント低下から考えるで詳しく書いています。
選抜研修を1回やっても、リーダーは育たない
同じHR総研の調査で、候補人材の層を厚くするための施策として最も多かったのは、「若手・中堅向け選抜育成プログラム」(35%)でした。
選抜研修は、候補者が自分の役割に気づくきっかけになります。ただ、研修で学んだことは、現場で使い続ける仕組みがなければ、日々の仕事に埋もれていきます。研修で学んだことが現場で使われるまでの流れは、研修転移とは?学びが現場で使われない構造的な理由で整理しています。
InsideSparkは、次期リーダー候補の中堅社員を1年間育てる
InsideSparkは、次期リーダー候補の中堅社員に1年間伴走する自律型人材育成プログラムです。教えているのは、最新の手法ではなく、習慣化、ロジカルシンキング、クリティカルシンキングといった、昔から提唱されてきた基礎です。この基礎を、1年間かけてしつこく教え込みます。
・月1回、コーチが企業に伺い、基礎研修を行う
・研修の翌日から次の研修まで、毎日宿題に取り組む。題材は、その日に現場で起きた出来事
・日報にコーチが返信し、学びと仕事をつなぐ
・毎月のグロース・ガイド面談で、受講者の選択の理由を聞き、考えを整理する
・月1回の上司報告会で、上司が受講者の変化を確かめ、研修の内容を日々の指導に生かす
上司報告会は、社長や上司が、次のリーダー候補の育ち方を毎月自分の目で確かめる場にもなります。
InsideSparkの受講者には、いまリーダーとして、事業部の売上の7割を占める主要顧客をすべて任されている人もいます。もちろん、これはInsideSparkだけの成果ではありません。本人の力と、任せることを決めた会社の判断があってのことです。
この記事のFAQ
育てても、辞めてしまうのではありませんか?
その不安は、もっともです。育てれば力がつき、選べる道も増えます。ただ、人が会社を離れるのは、選べるからではなく、今の会社に留まる理由が見えなくなったときです。育てるのをやめても、留まる理由がなければ、人はいずれ離れていきます。
この考え方は、優秀社員が辞める?「自律したら辞める」は本当かで詳しく書いています。
候補を決めると、選ばれなかった社員のやる気が下がりませんか?
選び方によっては、その心配は現実になります。理由も次の機会も見えないまま少人数を特別扱いすると、選ばれなかった社員は「自分には期待されていない」と受け取ります。
分かれ目は、条件が見えているかどうかです。InsideSparkを「リーダー前研修」として導入している会社では、「本人がリーダーを希望している」「半期の評価で一定以上」の2つを満たせば受講できる、と社員に伝えています。条件が見えていれば、選ばれなかったことは「まだ自分の番ではない」という意味になります。
まとめ
・次世代リーダー育成は、そのときできそうな人に任せることではなく、数年先を見越して計画的に育てること
・中小企業ほど、育てる体制が整っていない。成果が出ている会社の多くでは、経営層が関わり、育成計画を持っていた
・「候補者がいない」は、いないのではなく、まだ育っていないだけ。今の役職者の延長線上で探さない
・社長が求めるリーダー像を言葉にし、今の成績だけで候補を決めない
・選んでから育てるのではなく、中堅社員期から育てた中から選ぶ
次のリーダーは、ある日突然見つかるものではありません。何年か前から育ててきた人の中から、任せられる人が現れます。InsideSparkが中堅社員期にこだわるのは、そのためです。
組織づくりや部下の育て方に迷ったら、無料の個別相談会でお気軽にご相談ください。
出典
・HR総研「次世代リーダー育成に関するアンケート2026 結果レポート」(2026年10月7日公開) https://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=429



