2026.09.11部下・メンバーの育て方

1on1が意味ないと感じる本当の理由と、機能させる3つの条件

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1on1が意味ないと感じる本当の理由と、機能させる3つの条件

「1on1、やってはいるんですけどね」。導入して、続けてもいる。それでも、何かが変わった実感がない。そう感じている社長や人事の方は少なくありません。

この記事では、1on1の本来の目的を確認したうえで、1on1が意味ないと感じる3つの理由と、機能させるための3つの条件を、調査データと僕自身の経験をもとに整理します。

1on1の目的は、部下の成長支援

1on1とは、上司と部下が定期的に1対1で行う対話のことです。

ヤフーで1on1を広めた本間浩輔氏は、著書『ヤフーの1on1』の中で、1on1に期待できる効果を「経験学習の促進」と「上司による部下の成長支援」の2つにまとめています。そして、1on1は「部下のための時間」であり、上司が聞きたいことを聞く場ではないとしています。

本間氏自身は、目的を一つに絞ることには慎重な立場です。そのうえでInsideSparkでは、1on1の目的の中心は部下の成長支援だと考えています。

普通の会議との違いも、ここにあります。会議は業務を前に進めるための場です。1on1は部下が自分の経験から学び、成長するための場です。

1on1の実態:導入は進んだが、効果の実感が追いついていない

リクルートマネジメントソリューションズが2022年に人事担当者936名を対象に行った調査では、1on1の導入率は従業員3,000名以上の企業で75.7%、100〜699名の企業でも57.7%でした。全体では7割近くの企業が導入しています。

導入目的の1位は「社員の主体性・自律性の向上」(52.5%)、2位は「自律的キャリア形成の支援」(41.5%)でした。企業が1on1に期待しているのも、やはり部下の成長です。

一方で、効果の実感は追いついていません。パーソル総合研究所が2025年に発表した調査では、直近半年で1on1を経験した部下は55.7%いたものの、上司と部下の3人に1人が「効果を感じられない」と答えています。1on1に満足している部下は約半数でした。

制度は広まった。でも、成長支援の場にはなりきれていない。このずれを生んでいる理由を、次に見ていきます。

1on1が意味ないと感じる3つの理由

業務の進捗確認や、上司の独演会になっている

1つ目は、1on1が普通の会議と同じ中身になっていることです。

以前、組織づくりをご支援した会社では、ある上司は1on1を「評価のすり合わせ」、別の上司は「キャリア相談」、また別の上司は「メンタルケア」の場だと捉えていました。何を話す場かが決まっていないと、上司は手持ちの材料である業務の進捗に頼るしかなくなります。

「そういえば、あの件どうなってる?」から始まり、業務の指示やアドバイスで時間が終わる。ある部下の方は「通常のミーティングと何が違うのか分からない。指摘される場所が増えただけ」と話していました。

さらに気づきにくいのが、上司の独演会です。先ほどのパーソル総合研究所の調査では、上司は「部下の方が多く話している」と感じ、部下は「上司の方が多く話している」と感じる傾向がありました。

そして、部下の方が多く話している1on1、部下がテーマを決めている1on1ほど、部下の成長度は高くなっていました。上司本人は、自分が話しすぎていることに気づきにくいのです。

相手が評価者なので、本音が出ない

2つ目は、上司が評価者であることです。

自分の評価を決める相手に、「仕事に迷いがあります」と言えるでしょうか。評価者との1対1で、部下が「言っても大丈夫なこと」を選んで話すのは、処世術であって不誠実ではありません。構造上、そうなります。

言っても大丈夫だと思えるかどうかは、1on1に限らず、職場全体の心理的安全性に関わります。心理的安全性を高めたのに職場がゆるくなってしまう理由は、心理的安全性がぬるま湯になる理由と、成長する職場との違いで整理しました。

評価を伝える場面で部下の注意がどこに向かうかは、フィードバックとは?部下の評価面談で逆効果にならない伝え方にまとめました。

部下の側に、話す材料がない

3つ目は、部下の側に話す材料がたまっていないことです。

月に1回、急に「最近どう?」と聞かれても、すぐに答えられる人は多くありません。日々の出来事を振り返る習慣がなければ、1on1の場で話すことは浮かびません。「話すことがない」は、やる気の問題ではなく、振り返りの材料が足りていない状態です。

日々の事実を振り返る内省については、内省とは?研修をしても部下が変わらないのは、事実を観察していないからだったで詳しく書いています。

1on1を機能させる3つの条件

ここからは、僕が管理職として部下と向き合ってきた中で、そしてInsideSparkの面談で大切にしていることです。

相手に強い興味を持ち続ける

大前提は、上司が相手に強い興味を持ち続けることです。

興味がないまま、質問の技術だけで1on1をすると、相手には伝わります。形式的なやりとりになり、部下は「上司が期待している正解」を探し始めます。そうなると、1on1は成長の場ではなく、答え合わせの場になってしまいます。

相手が話したい話を、広げてから深める

次に、相手が本当に話したいこと、興味関心の深いことを聞くように心がけます。

そのために、まずは話題を横に広げる質問をします。「最近、手応えがあったことは?」「ほかには?」と、いくつかの話題に触れてもらうイメージです。そして相手の表情や声の変化を見ながら、反応の大きかった話題について、「それは具体的にはどういうこと?」「なぜそう感じたの?」と一つを深く掘り下げる質問に移ります。

最初から一つの話題を深掘りすると、上司が選んだ話題に部下を付き合わせることになります。広げてから深めることで、部下自身が話したい話に入っていけます。

用意した質問を、全部聞こうとしない

1on1の前に、聞きたいことを準備しておくのは大事です。ただ、それを全部聞こうとすると、1on1は上司の確認事項のリストになります。

軸にするのは、部下の成長を前に進めることです。当日の部下の様子を見て、今日はどの問いが成長につながるかを選び、ほかは思い切って捨てます。

それでも、1on1だけでは人は変わらない

1on1そのものは良い取り組みです。問題は、1on1「だけ」で人が変わると期待してしまうことにあります。

上司がどれだけ工夫しても、評価者であるという壁は残ります。月に1回の対話だけでは、話す材料もたまりません。1on1の外に、評価と切り離された対話の場と、日々を振り返る仕組みが必要です。

InsideSparkでは、受講者が毎日AIコーチング(ウチガワ)で内省を習慣にし、月1回は評価者ではないコーチとのグロース・ガイド面談で本音を話し、月1回の上司報告会で現場につなげています。

実際に、ある受講者の上司からは「部下への承認が増え、リーダーとメンバーの関係性が『上司⇔部下』から『一緒に目標達成する仲間』へと変わった」という声をいただきました。

この記事のFAQ

部下に「話すことがない」と言われたら、どうすればいいですか?

責める必要はありません。多くの場合、話す材料がたまっていないだけです。次回のテーマを部下に決めてもらう、日々の出来事を短く振り返る習慣をつくる、といった準備が効きます。それでも出てこないときは、過去ではなく未来から聞く方法もあります。

「1年後どうなっていれば、自分としては最高ですか?」のような問いは、フィードフォワードとは?フィードバックとの違いと部下育成での使い方で紹介しています。

1on1の頻度や時間は、どれくらいがいいですか?

パーソル総合研究所の調査では、月2〜3回以上、1回30分以上1時間未満の1on1で、部下の成長度が最も高くなっていました。一方、1回1時間以上の1on1では最も低い結果でした。長く話せば良いわけではなく、短めの対話を間を空けずに重ねる方が、成長につながりやすいと言えます。

まとめ

・1on1の目的の中心は部下の成長支援。業務の進捗確認や指示の場と分ける
・上司は自分が話しすぎていることに気づきにくい。部下が話し、部下がテーマを決める時間にする
・相手に強い興味を持ち、話題を広げてから深める。用意した質問は、成長につながるものだけを当日選ぶ
・評価者の壁と材料不足は、1on1の中だけでは解けない。評価と切り離した対話の場と、日々の振り返りを1on1の外に用意する

正直に言うと、1on1で一番差が出るのは、質問の技術ではなく、上司が部下にどれだけ興味を持っているかだと思っています。技術はあとからでも身につきますが、興味のなさは隠せません。「うちの1on1、意味あるのかな」と感じたら、まずは1on1の中身と、それを支える仕組みの両方を見直してみてください。

1on1や部下の育て方に迷ったら、無料の個別相談会でお気軽にご相談ください。

出典
・株式会社リクルートマネジメントソリューションズ「1on1ミーティング導入の実態調査」(2022年4月25日発表) https://www.recruit-ms.co.jp/news/pressrelease/0000000372/
・株式会社パーソル総合研究所「部下の成長支援を目的とした1on1ミーティングに関する定量調査」(2025年2月27日発表) https://webtan.impress.co.jp/r/prtimes/items/000000050.000111116
・本間浩輔『増補改訂版 ヤフーの1on1:部下を成長させるコミュニケーションの技法』ダイヤモンド社

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