2026.09.14自律型人材の育て方

認知の歪みとは?同じ失敗を繰り返す理由

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認知の歪みとは?同じ失敗を繰り返す理由

「また同じ失敗してる…」

部下や社員の失敗を見て、そう感じたことはないでしょうか。指摘しても、研修を受けさせても、同じような場面で同じような反応を繰り返す。実はこれ、どれだけ指摘の方法や失敗の原因の深堀りをしても意味がありません。

今回の記事では、その背景にある「捉え方の癖」の正体と、それを変えるために本当に必要なことを解説します。

「認知の歪み」の正体は、40年以上研究されてきた心理学理論

「認知の歪み」という言葉は、出来事の捉え方の偏り全般を指す言葉として、広く使われています。

その中でも、特に土台となる考え方を説明してくれるのが、心理学者キャロル・ドゥエック(スタンフォード大学)が提唱した「マインドセット理論」という、40年以上にわたって研究されてきた確立した理論です。本日はここに焦点をあててお話します。

ドゥエックは、人の物事の捉え方を大きく2つに分類しました。

1.「自分の能力は生まれつき決まっていて、努力しても変わらない」と考える固定マインドセット

2.「能力は経験や努力によって伸ばせる」と考える成長マインドセット

同じ出来事に直面しても、どちらの捉え方をしているかによって、その後の感情と行動はまったく違うものになります。これは特別な人だけに起きる現象ではなく、誰もが両方の捉え方を状況によって使い分けている、というのがこの理論の重要な点です。

同じ出来事でも、捉え方ひとつで行動はここまで変わる

例えば、企画に厳しい指摘を受けたとします。

固定マインドセット的な捉え方をすると、「自分には向いていないのかもしれない」「否定された」という解釈が先に立ち、落ち込む、言い訳をする、防御的になるといった反応につながりやすくなります。

一方、成長マインドセット的な捉え方をすると、「改善のヒントをもらえた」という解釈になり、原因を分析する、次の改善案を考えるという行動に向かいます。

出来事そのものは同じでも、その手前にある「捉え方」が違うだけで、まったく別の結果になるのです。

僕たちがこれまで見てきた受講者の変化にも、この分岐がはっきり表れています。

ある受講者は、物事への取り組み方が「とにかく行動する」という反射的なスタイルから、「まず考えてから動く」というスタイルに変わっていきました

また別の受講者は、挑戦への判断の軸そのものが「これは成長できる機会かどうか」という基準に変わっていきました

どちらも、出来事の捉え方そのものが変化した結果です。

なぜ「知っている」だけでは、捉え方は変わらないのか?

「捉え方次第で行動が変わる」と聞くと、多くの人は「知っているから大丈夫」と感じるかもしれません。しかし、知っていることと、実際にできること、日常でやっていることの間には、大きな距離があります。

僕たちの研修では、この距離を「知ってる(know)」「できる(can)」「やっている(do)」という3段階で説明しています

「知ってる」は、聞いたことがある、意味がわかるという理解の段階です。「できる」は、意識すれば実務で再現できる段階です。「やっている」は、無意識のレベルで自然に実践できている段階です。

多くの研修は、この最初の「知ってる」で終わります。これは、以前の記事『研修転移とは。学びが現場で使われない構造的な理由』で解説した構造とまったく同じです。単発の研修で「捉え方を変えましょう」と伝えても、それは知識が増えただけで、実際の行動が変わる保証にはなりません

捉え方を変える、たった一つの習慣

捉え方の癖に気づき、変えていく方法は実はシンプルです。日々の出来事を振り返り、そのときの感情と、その感情の裏にあった前提(「〇〇すべき」「〇〇に違いない」といった思い込み)を、言葉にする習慣です。

自分の捉え方の癖は、自分では気づきにくいものです。何かが起きた瞬間、多くの人は反射的に感情や行動が出てしまい、その手前にある「捉え方」を意識する余地がありません。だからこそ、後から振り返り、「なぜあの時、自分はそう感じたのか」を言葉にする作業が必要になります

ある受講者は、この振り返りを重ねる中で失敗をただ自分のせいだと抱え込む「自責」の状態から、責任は引き受けつつも問題解決に意識を向ける「自分ごと」の状態へと変わっていきました。捉え方が変わったことで、同じ失敗でもその後の行動がまったく違うものになったのです

InsideSparkでは、毎日のAIコーチング「ウチガワ」を通じて、この振り返りの習慣を日々積み重ねています。特別な能力ではなく、この反復こそが捉え方を変える唯一の方法です。

この記事のFAQ

捉え方の癖は、生まれつきの性格ですか?

性格の影響がまったくないわけではありませんが、基本的には過去の経験や環境によって後天的に形成されるものです。後天的に身についたものである以上、後天的に変えることもできます。

部下に「捉え方を変えろ」と伝えるのは効果がありますか?

直接的に「変えろ」と伝えるだけでは、正直効果はありません。むしろ萎縮して答え探しを始めます。捉え方は指示で変わるものではなく、自分自身で気づき、言葉にする経験を積み重ねる中で少しずつ変わっていくものです。

まとめ

・「認知の歪み」の背景には、40年以上研究されてきたマインドセット理論(固定/成長)がある
・同じ出来事でも、捉え方次第で、その後の感情と行動はまったく別のものになる
・捉え方は「知っている」だけでは変わらず、「できる」「やっている」まで到達する必要がある
・捉え方を変える方法は、日々の出来事を振り返り、感情と前提を言葄にする習慣を積み重ねること

「また同じパターンだ」と感じたら、それは本人の資質の問題ではなく、まだ捉え方に気づき、言葄にする習慣ができていないだけかもしれません。自社の場合はどうなのか、無料の個別相談会でお話を伺います。

出典
・キャロル・S・ドゥエック『マインドセット「やればできる!」の研究』(草思社文庫)

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